2026年7月16日(木)命への静かな敬意

現代歌人協会賞や歌壇賞の受賞歴を持つ、宮崎県出身の久永草太(ひさなが ・ そうた)氏は、獣医師であり歌人というユニークな経歴を持っています。
久永氏の短歌は、動物を救う仕事に携わる者として命の尊さを見つめる一方、食材として消費される動物の命にも目を向けています。

例えば、「食べらるるための命の静けさを見つめて今日もメスを握りぬ」といった一首には、命と向き合う現場での複雑な思いが静かに表現されています。
人間が生きるために命をいただくという行為に内在する、簡単には割り切れない矛盾を、獣医師ならではの視点で静かに詠み上げている点に特徴があります。
私たちは矛盾に直面すると、心を落ち着かせるために理由を並べ、断定的に正当化して安心 を得ようとしがちです。
しかし、久永氏の作品が示すように、割り切れないものを矛盾のまま受け止め、事実として 抱え続ける姿勢が必要な場面もあるのではないでしょうか。
謙虚な生き方とは、そのような受け止め方の積み重ねから育まれるのです。

今日の心がけ ◆行為の背景にある意味を考えましょう